
猫用のフードやサプリメントで、クランベリーが使用されるものがあります。
どのような目的で、猫にクランベリーが使用されるのでしょうか。
この記事では、クランベリーの働きと猫の尿路健康管理について猫の食事とナチュラルケアの専門家の観点から解説します。
クランベリーの科学的根拠:人間と動物での研究現状
ヒトでの研究成果:尿路感染症(UTI)の再発を防ぐ
人間の場合、クランベリーを摂ることで、膀胱炎などのUTIが何度も繰り返し起こるのを予防できる、ということが、多くの科学的な研究で示されています。
クランベリーに含まれるA型プロアントシアニジン(PACs)、フラボノイド、フェノール酸といった成分が、UTIの主な原因菌である大腸菌が尿の通り道(尿路上皮細胞)にくっつくのを邪魔すると考えられています。
猫における研究状況
最新の研究では、猫を対象とした「二重盲検無作為化クロスオーバー試験」(最も信頼性が高いとされる研究デザインの一つ)において、クランベリー摂取が猫の尿上皮細胞への大腸菌の接着にどのような影響を与えるかが現在も詳しく検討されています。
現時点では、クランベリーが猫のUTI予防に明確な効果を示すという強い科学的根拠(エビデンス)は確立されていません。
犬における研究状況
犬での研究では、再発性UTIの履歴がある12匹の犬に対し、抗菌薬またはクランベリー抽出物を6ヶ月間投与した比較試験が実施されています。犬全体への普遍的な効果を断言するには、さらなる大規模な研究が必要です。
人間においてはクランベリーのUTI再発予防効果が示されていますが、猫や犬についてはまだ研究途上であり、明確な結論は出ていません。
クランベリーがなぜ尿路ケアに有効なのか
A型プロアントシアニジン(PACs)
クランベリーに特に多く含まれる、独特のポリフェノールです。
尿路感染症(UTI)の主な原因である大腸菌が、尿路の壁にくっついてしまうのをブロックします。
増殖しにくくなり、結果として感染が起きにくくなると考えられています。
フラボノイド
植物に広く含まれる色素成分で、強力な抗酸化作用を持っています。
尿路に炎症が起きている場合、炎症によるダメージから細胞を守る手助けをします。
キナ酸
クランベリーの酸味の元となる有機酸の一つです。
キナ酸は体内で馬尿酸に変換され、尿の酸性化と直接的な細菌増殖抑制を通じて、尿路環境を整える手助けをします。
クランベリーに含まれる有機酸の一つである「キナ酸」は、その酸味の元となるだけでなく、摂取されると体内で吸収され、主に肝臓で代謝されます。
この際、キナ酸は「馬尿酸(Hippuric acid)」という物質に変換されます。
馬尿酸は尿中に排泄される過程で、尿のpHをわずかに酸性に傾ける作用があるとされています。
尿が酸性に傾くことで、尿路感染症(UTI)の主な原因菌である大腸菌(Escherichia coli)など、一部の細菌が繁殖しにくい環境を作り出す効果が期待されます。
さらに重要なのは、馬尿酸が単に尿を酸性にするだけでなく、それ自体が特定の細菌に対して増殖抑制効果を持つことが示唆されています。
これにより、細菌の活動を直接阻害する可能性があります。
その後の研究により、クランベリーのUTI予防における最も主要な作用は、A型プロアントシアニジン(PACs)による細菌の尿路上皮細胞への接着阻害であることが明らかになりました。
馬尿酸による尿の酸性化や直接的な抗菌作用は、PACsの接着阻害作用と比較すると、補助的または副次的な役割であると認識されています。
ビタミンC
体の健康維持に欠かせない、広く知られる水溶性ビタミンです。
一般的なクランベリー(生)100gあたり、約13.3mgのビタミンCが含まれています。
(参考:USDA食品成分データベースなど)
強力な抗酸化作用で、体の中の細胞をダメージから守ります。
また、体の免疫機能をサポートし、風邪をひきにくくしたり、病気への抵抗力を高めたりするなど、愛猫の全体的な健康維持に貢献します。
クランベリーは猫の尿路の健康において、補助的効果が期待できる成分を含んでいます。
ただし、クランベリーを食べれば尿路のケアができる万能薬ではありません。
クランベリーだけでなく猫の食事管理、栄養、環境、などのホリスティックな視点でのケアが重要です。
本当に愛猫の尿路の健康を守るためには、クランベリーだけに頼るのではなく、猫の食事管理、適切な水分摂取、ストレスの少ない環境作り、そして定期的な獣医師の診察など、ホリスティック(全体的)な視点でのケアが何よりも重要です。
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