あなたの猫の肝臓が悲鳴を上げているのは、なぜか。
まず、猫の肝臓の働きを知ると理由が見えてきます。
この記事では猫の肝臓の役割と肝臓の不調の要因、そして猫の肝臓を助けるためにできることの一例を猫の健康のための食事のアドバイザーが書いています。
猫の肝臓の役割
「肝心要」という言葉があるように、肝臓はとても重要な臓器です。
その役割は書き出せば3000を超えると言われます。
大きくは、「消化」と「解毒」「栄養のコントロール・貯蔵」に分けられます。
主に「消化」と「解毒」そして栄養の過不足があると肝臓が疲れてしまうということは想像ができるかと思います。
愛する猫の周囲には、飼い主も気が付きづらい有害物質があふれています。
毎日毎食、添加物豊富で消化が悪く栄養が足りない餌を与えたり、本当に必要かどうかもわからない薬を飲ませ続けてせっせと猫の肝臓に負担をかけているのはほかでもない飼い主かもしれません。
(肝臓の不調を訴える猫の飼い主を責めているわけではありません)
猫の肝臓に負担を与えるもの
- 化学物質
- カビ毒(マイコトキシン)
- 有害金属
- LGS(リーキーガット症候群)
などがあります。
1~3は体の中に入れないことが大事です。
ペットフードを与えていると1~3を防ぐことは困難です。
まずは、普段与えている食事を見直す、食事療法を始めることが大前提です。
食事や投薬で体内に入れられる「解毒が必要なもの」を減らすことで、肝臓の解毒の負担を減らします。
まずは有害金属がどのくらい体内に溜まっているかを調べる「被毛ミネラル検査」をお勧めします。
猫の肝臓疾患の食事療法
- 腸のケア
- 抗酸化物の積極的な摂取
- 高たんぱく・超低糖質・脂質を控えめに
1 腸のケア
肝臓が悪くなる大きな要因の一つに腸の問題があります。
体に合わないペットフードを与えられ続けてきた猫
抗生物質やステロイド剤を投与されてきた猫
ワクチンを接種された猫
その他、長期薬剤投与をされてきた猫
ノミダニ薬などを使用されてきた猫は腸内細菌のバランスが乱れています。
腸壁が炎症を起こし「漏れて」いる猫がほとんどです。
そのため、漏れている腸の穴を塞ぎ、未消化物を少なくするなどの対処をして肝臓の負担を減らすことが重要です。
これにはかなり長い時間がかかります。
数年単位と考えてください。
だからこそ、肝臓の疾患は予防が重要ですし。
猫の肝臓の疾患は飼い主にしか予防ができません。
可能な限り早い時期にドライフードや加熱した食物を避けて、なるべく消化に良いものを食べさせること
腸と肝臓の食事療法を始めることを勧めます。
ここでいう食事療法とは、動物病院で処方される処方食とは違うものですので注意してください。
2 抗酸化物の積極的な摂取
肝臓が解毒をするときには、強力な活性酸素がたくさん発生します。
それなのに「酸化した」食べ物を食べさせるのは論外です。
肝臓の不調を訴える猫の食べ物は、まず「酸化していない」ことが重要です。
一番手っ取り早いのは、加熱加工がされていないということです。
食事を良いもの安全なものに変えたうえでプラスするものがあるとしたら、ひとつは「抗酸化物」です。
肝臓のケアには抗酸化物の摂取が重要です。
抗酸化物には食材、ハーブ、サプリメントなどたくさんの種類があります。
猫の食事療法の難しいところは、「猫が口に入れてくれない」ことです。
様々な抗酸化物の中からどれが合うかは猫の口に入れて、ある程度の期間がないとわかりません。
手に入れられそうなもの、猫が口に入れられそうなものから試してみてください。
3 まずは良質で高たんぱくな食事。+超低糖質・脂質を控えめにした食事に
まず、ドライフードを食べていては猫の肝臓の疾患をよくすることは難しいでしょう。
肝臓が悪い猫の中には、ドライフードを食べなくなる猫も多いです。
消化が難しすぎるものは食べないのかもしれません。
一番良いのは生肉を主体とした自然食に切り替えることです。
ここでは猫の体調を見ながら慎重に食事を変更する必要があるので、知識があり適切なアドバイスができるアドバイザーと一緒に取り組むことをお勧めします。
猫の肝臓ケアのハーブ
ミルクシスル(マリアアザミ)
肝臓のアイテムとして最も有名なのがマリアアザミでしょう。
「シリマリン」という成分が肝臓を守り、再生してくれるとされています。
ミルクシスルは、健康な肝臓や予防や単なる栄養補助としては使えない強いハーブです。
ハーブの知識がある獣医師のアドバイスを仰いでください。
アルコールチンキまたは粉末を用います。
成分の抽出には高濃度のアルコールが必要ですので、低アルコールのものは品質に疑問がある場合があります。
ですが、猫にアルコールは禁忌です。
そのため、チンキを少し浄水で薄めたりして少量与えることから始めます。
リコリス(甘草)
マリアアザミより幅広い作用がある優れた肝臓修復ハーブです。
抗炎症作用に期待ができます。
痛みやかゆみ、炎症をやわらげてくれる作用があります。
抗ウイルスや抗菌作用も持ち、粘膜系の疾患にも役立ちます。
呼吸器から腸まで炎症をやわらげて粘膜修復をサポートしてくれます。
チンキ剤が理想的な形態とされています。
私は風邪の引き始めや粘膜の不調を感じるときにリコリスのハーブティを用いることがあります。
リコリスはかなり甘く、アルコールチンキであることからも、猫は喜ばないかもしれません。
それでもマリアアザミよりは使いやすいハーブと言えるかもしれません。
継続的に使う場合は、2週間継続して少し休みます。
どんなハーブでも、強い作用をもたらされる個体がいます。
大量を高濃度で長期にわたって使用することは避けてください。
その他さまざまなアイテムがありますが、基本的なものをご紹介しました。
まとめ
肝臓の不調の要因には、長期にわたる猫の個体に合わない食事の給餌と、食事や生活環境などからの過剰な毒素の供給があることは否定できません。
猫は肝臓の解毒作用が弱い動物です。
たった1度の投薬で肝臓に強いダメージを与え、黄疸が出て非常に苦しむ場合があります。
私の愛猫が、医師の誤投薬で苦しんで死んでいきました。
当時、今のような知識があれば、もう少し楽にしてあげられたかもしれないと思うと言葉もありません。
肝臓自体が様々な役割を持つ臓器のため、対処法もまた多岐にわたります。
特効薬はありませんから、やったからといって必ず治る保証はないし、効果が得られるまでに長い時間がかかります。
食べてもらうにも一苦労の状態になってしまってからでは厳しいですが、朝愛猫が起きてくる限り、飼い主は何かをせずにはいられません。
そんな苦しみを味わう前に、肝臓の疾患の予防を考えてもらえればと思います。
猫の肝臓病予防の食事やこれからについて相談してみたい方は猫ごはん「にゃんでも相談」をご利用ください。
できれば、猫が苦しみ食べることを諦めてしまう前にお越しください。
猫の食事について、最低限知っておきたいごはん選びについて9日間のメールセミナーでお送りしています
専門家のアドバイスを受けるか、ご自身の責任の元でご使用ください。
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