猫、特に多くの高齢のシニア猫と飼い主を悩ませる疾患が、猫の心臓病です。
猫の死亡要因の上位にも入ります。
米国では猫の最大15%が何らかの心臓疾患を持っていると推定されています。
猫は心臓の問題を抱えて生まれることもあり、年齢が上がるにつれてもよく見られるようになります。
メインクーンなどの大型猫で発生しやすいとされていますが、雑種猫で心臓疾患を抱える猫も多く、猫種は関係がないように思います。
老化現象の一つとして起こることが多かった心疾患ですが、最近では若い猫でも心雑音を指摘されるケースをよく耳にします。
心臓の働きをフォローする薬はあっても、心臓病を治す薬はありません。
薬の副作用で体調を崩してQOLが低下し、薬を飲み続けることができない子もいます。
*QOL=クオリティオブライフの略。
生活の質を意味します。
どの慢性疾患にも言えることですが、心臓が悪くなったら老化や運が悪いのだから病院へ行けばいいと思っているのなら、大きな間違いです。
猫の疾患は、少なからず猫の飼育環境からくるものです。
心臓が悪くならないよう予防することが大切です。
この記事では、心臓の働きや心疾患の症状。
猫の心臓の病気の要因から予防までを書いています。
猫の心疾患予防のポイント
猫の心疾患の予防のポイントは大きく分けて3つです。
1つは、肥満を避け、適正体型を維持すること。
2つ、心臓が必要とする栄養素をしっかり与えること。
3つ目は、「解毒」
病院へ行くことや検診以上に、家庭での日々の猫のケアによる予防が重要です。
猫の心臓の働き
猫の心臓は、酸素と栄養素を含んだ血液を全身に送るポンプの働きをしています。
1頭に1つだけ、停止すると生命も終わる非常に重要な臓器です。
猫の心疾患の症状
猫の心臓病の症状は、非常に苦しいものです。
・大きくなれない(子猫)
心臓がうまく働いていなければ、酸素や栄養素を全身にいきわたらせることができず、身体の成長に影響を及ぼします。
・呼吸がおかしい
息苦しくなり、呼吸が早くなります。
病院では心雑音を指摘されます。
・咳をする
猫は通常あまり咳をしません。
猫が咳をしていたら、心臓の働きに問題を抱えている可能性があります。
・疲れやすい
行動力が低下します。
年だから、と安易に考えず、元気がないと感じたら早めに獣医師の検診を受けましょう。
・粘膜の色がおかしい
心疾患により、末端まで十分に酸素が行き届かないなど循環が悪いことが理由で、歯茎の色の異常が見られます。
猫の体調をきちんと確認しましょう。
猫の心臓疾患の要因
心臓疾患には、種類があります。
犬では僧帽弁閉鎖不全症が多くみられるのに対し、猫の場合は心筋症が多くみられます。
心臓に負担をかけるのは、肥満です。
猫の心臓病予防のポイントは「正しい食事管理」
愛する猫を太らせることは虐待にも等しい行為だということを知ってください。
猫をよく知り、猫に合わせた食事を与えることで、数年かかりますが猫の肥満は飼い主自身の手で改善することができます。
痩せ薬はありません。
ダイエットフードでは、猫を健康に痩せさせることはできません。
飼い主にしかできない最も確実な病気予防の方法が「猫を太らせない」ことです。
猫の心臓ケアにとって最も重要なのは、穀物や不必要な炭水化物を含まない食事、生肉を主体とした食事を猫に与えることです。
最低限、グレインフリーであることが大切です。
ただし、グレインフリーフードの中にはグレイン(穀類)の代替品として、圧力をかけられたでんぷん質、芋類豆類タピオカなどが使われている粗悪なものがあります。
グレインを取り除いても、代わりに芋や豆を入れてしまっては、グレインフリーの意味がないどころか、心疾患の要因になることがわかってきています。
完全肉食獣である猫のごはんはグレインフリー(穀物は不必要)であることは当たり前、穀類と同じく豆類芋類、タピオカなどのでんぷんも不必要であることを知って猫のごはんを選んであげてください。
正しい知識をもってペットフードのラベルを読んでペットフードを選ぶことができる猫の飼い主ならば
市販されているキャットフードでは、猫の心臓疾患を予防したりケアすることはほとんど不可能であることがわかると思います。
猫の体質体調改善をしたいなら「猫の自然食」がお勧め
正しい知識をもって、猫の食事改善を始めてみませんか?
独学の猫の手作りごはんは、自然食とは言えないことが多いです。
ちゃんと習ったはずなのにうまくいっていないとしたら、先生選びから見直してみることをお勧めします。
飼い主さんが、思った通りの未来が訪れます。
もし、猫を本気で健康にしたい、猫の健康寿命を本気で延ばしたいと思われるのなら、ぜひ一度ご相談ください。
参考資料
ペットの老後を健やかに 著 獣医師本村伸子先生 コロ出版