猫を飼い、健康に育てたいと思うのなら、絶対に避けてほしいのが「タバコ」です。
ご存じの通り、タバコは、喫煙する本人だけではなく副流煙を吸わされる周囲の動物にも甚大な健康被害を与えます。
当然、猫も例外ではありません。
あなたの猫は咳やくしゃみをしていませんか?
猫を閉じ込めている室内に、猫の咳やくしゃみの要因がないか考えてみましょう。
電子タバコなら猫にも安全と思っていませんか?
猫に電子タバコは絶対にNGです。
その理由は、電子タバコの成分にあります。
電子タバコのリキッドが何でできているかご存じでしょうか。
プロピレングリコールと植物性グリセリンの混合液とされています。
ここで、ピンと来た方は猫が好きな方です。
プロピレングリコールとは
電子タバコのリキッドの原材料であるプロピレングリコール(PG)は食品添加物ですが、ペットフードに対してほぼ何の規制もない日本の法律「ペットフード安全法」でキャットフードに使ってはいけないとされている薬品です。
電子タバコは、この化学物質を揮発させて室内にばらまき、充満させるものです。
ちなみに、猫の周囲では、ウェットティッシュや洗い流さないシャンプーなどにも使われています。
猫の体に触れるペット用品でも、猫にとって安全ではない場合があります。
電子タバコのリキッドと同じ液体で猫の体を拭いたり、洗ったりしていないでしょうか。
ペット用品も猫用と書いてあっても決して安全ではありません。
飼い主に正しい知識がなければ、ペットフードやペット用品から起こる猫の健康被害からも猫を守ることはできません。
この記事を通じて、プロピレングリコール(PG)の危険性を知って、猫に触れないようにご配慮いただけましたら幸いです。
猫が電子タバコの副流煙を吸わされた場合に考えられる健康被害
・溶血性貧血 (玉ねぎを食べたときに起こる貧血と同じ)
・皮膚や粘膜への毒性(呼吸器疾患、呼吸困難)
・皮膚アレルギー
・腎・肝機能障害
実際に、電子タバコを使用する方と同居している猫が咳やくしゃみをするというご相談がありました。
夜になるとひどくなるそうで、ありとあらゆる可能性を提案しましたが環境的要因が考えられない、病院へ行ったほうが良いのか!?と飼い主さんはおっしゃっていました。
同居のご家族が電子タバコを室内で吸うのを止めると、猫の咳やくしゃみは収まったと数か月後に連絡をいただきました。
普通のたばこの副流煙も猫には猛毒
では普通のたばこなら良いのか?というとそんなわけはありません。
同居の人間の喫煙習慣が猫にもたらす可能性がある健康被害には
・がん
・循環器疾患
・呼吸器疾患
などが考えられます。
また、猫の被毛を分析することで、猫の体に蓄積された有害金属を調べる検査「被毛ミネラル検査」でも、飼い主に喫煙習慣がある場合に有害ミネラルが多く検出されることがわかっています。
副流煙から検出される「カドミウム」
喫煙習慣がある家庭の猫の被毛から多く検出される有害ミネラルのひとつが、カドミウムです。
同居の人間の複数名が喫煙し、しかもペットフードを与えている場合、喫煙する人間がいない場合と比較して60倍以上のカドミウムが検出されました。
喫煙する人間が日中は家にいない場合にも、20倍のカドミウムが検出された猫もいます。
カドミウムは非常に排出しにくい有害ミネラルです。
そのため体に入れないことが最も大切です。
水道水やペットフードからも検出されますから、食事や飲み水の品質も見直す必要があります。
カドミウムの主な症状
・貧血
・呼吸障害
・胸痛
・肝臓障害
公害病であるイタイイタイ病もカドミウムが要因です。
タバコの煙を無理やり吸わされる猫に起こるかもしれない健康被害
喫煙者に副流煙を吸わされる「受動喫煙」による健康影響は、猫にも起こりうるものです。
副流煙を吸わされる猫の健康被害はカドミウム以外にもあります。
カドミウムなどの有害ミネラルや、タバコや電子タバコに含まれる化学物質が猫の体内に入るデメリット。
それは「活性酸素」が大量に発生することです。
活性酸素による細胞の「酸化」は体の錆として、猫にとっても老化と病気の要因です。
有害物質を摂取すると、猫の体内では解毒のために大量の活性酸素が発生します。
喫煙の被害の中心に「がん」があるのは、そのためです。
ペットフードを与えながら猫の周囲で喫煙をすることは、猫を老化させ、病気の要因を作ることになります。
さらに電子タバコは、プロピレングリコールを猫に吸わせることで、溶血性貧血を起こすこともあり得ます。
貧血を起こさなくても、咳やくしゃみ、呼吸の苦しさなどを感じていることでしょう。
猫は、その辛さを言葉にして訴えることができません。
受動喫煙による健康影響のまとめ(厚生労働省e-ヘルスネット)
成人の場合
因果関係を推定する証拠が十分(確実):レベル1
がん: 肺がん
循環器の病気:虚血性心疾患、脳卒中
呼吸器への急性影響:臭気・鼻への刺激感
証拠は因果関係を示唆(可能性あり):レベル2
がん:鼻腔・副鼻腔がん、乳がん
呼吸器への急性影響:急性の呼吸器症状(喘息患者・健常者)、急性の呼吸機能低下(喘息患者)
呼吸器への慢性影響:慢性呼吸器症状、呼吸機能低下、喘息の発症・コントロール悪化、慢性閉塞性肺疾患(COPD)妊娠出産の場合
因果関係を推定する証拠が十分(確実):レベル1
乳幼児突然死症候群(SIDS)
証拠は因果関係を示唆(可能性あり):レベル2
低出生体重・胎児発育遅延小児の場合
因果関係を推定する証拠が十分(確実):レベル1
乳幼児突然死症候群(SIDS)、喘息の既往
証拠は因果関係を示唆(可能性あり):レベル2
喘息の発症・重症化、呼吸機能低下、中耳の病気、う蝕(虫歯)、学童期の咳・痰・喘鳴・息切れ
猫といういのちと暮らす前に、考えてみませんか。
虐待する人間や猫を捨てる人間、保健所に持ち込んだりする。
命を命とも思わない人間がいることは、知識として知っていました。
そんなことは当たり前なのに、悪気なくうちの猫がかわいいと言いながら、猫と同じ環境で喫煙できる人間がいる。
ましてや、電子タバコです。
猫を飼っているのに喫煙をし、キャットフードにさえ使ってはいけないプロピレングリコールを猫に吸わせる人がいる。
私が浅はかでしたが、この事実はとてもショックでした。
猫に暴力をふるうことと、猫の前で喫煙し、猫の健康を損なうこと。
何が違うのでしょうか。
あなたの猫は、咳やくしゃみをしていませんか?
喫煙する人間が帰宅すると、猫の咳やくしゃみがひどくなりませんか?
喫煙した後手を洗い着替えてから猫に触れてください。
喫煙した飼い主の手や衣服は、猫にとっては猛毒です。
もちろん私の親しい方にも、大好きな方の中にも喫煙をする方はおられます。
人間が喫煙をして健康を害することは、誰にも邪魔することはできません。
でも、猫のいのちを守りたいと思うなら。
猫と一緒に健康を目指す暮らしを考えてみませんか?
そして
喫煙者がいるのなら、猫や生き物を飼わない選択を。
副流煙や化学物質を吸わせながら猫を病気にしたくないなんて、ムシが良すぎると思いませんか?
ペットフードの中にも、猫の病気の要因はたくさんあります。
猫に健康で長生きしてほしいと考えるなら、猫目線で猫の食事や環境を考えてみませんか?
猫の餌を、猫の健康のためのごはんに変えるサポートをしています。
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参考書籍
シッポの「願い」聞こえていますか?犬猫の声 本村伸子獣医師著