
猫の皮膚や被毛に「ツヤがない」「フケが出る」「かゆがっている」といった変化を感じたことはありませんか?
また、口の中の炎症(口内炎)や目の周りが赤くなる、涙やけが気になるといった症状も、実は「粘膜の不調」と関係があります。
これらの症状は、皮膚や粘膜という“体の外と中をつなぐバリア”がうまく機能していないことを表しています。
このバリアが弱くなると、感染症にかかりやすくなったり、アレルギーが出やすくなったりすることがあります。
猫の皮膚や粘膜の健康は「毎日の食事」で大きく左右されています。
この記事では、初心者の方にもわかりやすく「なぜ猫の皮膚や粘膜に栄養が大切なのか」「どんな食事を与えることで健康を守れるのか」をお伝えします。
皮膚と粘膜は猫の“防御壁”
猫の皮膚や粘膜は、ウイルスや細菌、ホコリなどの異物から体を守る「天然のバリア」です。
皮膚は傷ができれば細菌が入りやすくなり、粘膜(口や鼻、腸の中など)は免疫細胞の集まりとしてウイルスや病原菌と常に闘っています。
皮膚や粘膜の健康を守ることは、猫の免疫力を保つことと直結しています。
猫の皮膚は人間よりもずっと薄くデリケートで、食事の影響を受けやすいとされています¹⁾。
粘膜もまた、消化吸収だけでなく免疫の7割を担う「腸管免疫」としての役割を持っています。
粘膜に炎症が起きたり傷んでしまうと、猫全体の健康に深刻な影響が及ぶことがあります²⁾。
栄養が不足すると猫に起こること
猫の体では、合成できない栄養素がたくさんあります。
そのため、食べものから摂らなければなければならない栄養素があります。
特に猫の皮膚や粘膜の健康に関係する栄養素には以下のようなものがあります:
・タンパク質(皮膚や被毛の主成分)
・ビタミンA(粘膜の再生に必要)
・ビタミンEやC(抗酸化作用)
・オメガ3脂肪酸(炎症を抑える)
・亜鉛や銅などの微量ミネラル(皮膚の再生に不可欠)
これらが欠けていると、猫の皮膚が乾燥したりかゆみが出たり、粘膜に炎症が起きたりします。
特に市販のペットフード(ドライフード)は、加工や流通の段階で栄養素が損なわれやすいです。
合成のビタミンやミネラルを後から添加しています。
添加されている栄養素のほとんどが「合成」のサプリメントです。
猫にとって「自然なかたち」で猫の体に吸収され代謝できるとは限らないのです。
猫にとって自然な栄養を「食べもの」から取り入れる
猫の自然食は、猫の食性に合った食べ物を与え、新鮮な食材から栄養を摂るこ食事です。
猫にとって理想的なのは「肉食動物に合った動物性タンパク質を中心に、天然の栄養素がしっかりとれる食事」です。
たとえば:
新鮮な肉(鶏、馬、魚など)
内臓(肝臓はビタミンAが豊富)
生の脂(オメガ3脂肪酸が豊富な魚油など)
少量の野菜や発酵食品(腸内環境のサポート)
こうした食材は、合成(人工)のビタミンやミネラルよりも、猫の体に自然なかたちで吸収されやすいといわれています³⁾。
「猫の自然食」を取り入れる際の注意点
猫の自然食を取り入れることは、猫の皮膚や粘膜を守るうえで非常に有効です。
ただし、いきなり切り替えると消化器官が驚いてしまうこともあります。
また、独学・自己流の手作り餌では必要な栄養バランスを欠いてしまう可能性もあります。
ただ生肉を与えることが自然食ではありません。
猫の栄養学に基づいた正しい猫の自然食の知識を学びながら、段階的に取り入れていくことが大切です。
猫の皮膚や粘膜を守ることは「慢性病の予防」でもある
猫の皮膚炎や粘膜の炎症は、実は「体の内側が不調です」というサインであることが多いです。
そのままにしておくと腎臓病、口内炎、IBD(炎症性腸疾患)など、慢性的な疾患につながるリスクがあります⁴⁾。
「病気になってから治す」ではなく、「病気にならないように日々の食事で守る」。
猫の自然食は、そうした“予防”のための大切なツールなのです。
あなたの猫にできることから始めてみませんか?
猫の健康の土台は「食事」でつくられます。
皮膚や粘膜の健康は、目に見えるサインとして現れやすいぶん、改善まで時間がかかりますが、見た目で分かりやすい問題です。
猫の毎日の食事を見直し、自然な栄養が届くようにすることで、猫は本来の美しさと免疫力を取り戻します。
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あなたの愛猫が、ずっと健やかでいられますように。
【脚注・出典】
1)Watson, A. D. J. (1998). “Diet and skin disease in dogs and cats.” The Journal of Nutrition, 128(12 Suppl), 2783S–2789S. https://doi.org/10.1093/jn/128.12.2783S
2)Cerutti, A., Rescigno, M. (2008). “The biology of intestinal immunoglobulin A responses.” Immunity, 28(6), 740–750. https://doi.org/10.1016/j.immuni.2008.05.001
3)Case, L. P., Daristotle, L., Hayek, M. G., & Raasch, M. F. (2011). Canine and Feline Nutrition. Elsevier Health Sciences. 第3版
4)Zoran, D. L. (2002). “Nutritional management of gastrointestinal disease.” Clinical Techniques in Small Animal Practice, 17(3), 118–123. https://doi.org/10.1053/svms.2002.35990