イギリスから、キャットフードのリコール情報
(写真はイメージです。当該商品ではございません。)
またもキャットフードによる健康被害のニュースが入ってきました。
ロンドンの王立獣医学校(RVC)によると、血液の病気「汎血球減少症」で猫の大量死が起こっているとのことです。
そしてその要因が、ある複数のメーカーのキャットフードではないかということです。
この記事では要因とされている物質マイコトキシンとは何か?何が起こっているのかを書いています。
今回の英国キャットフードリコールの概要
可愛らしい見た目や自由気ままな性格から、世界中の人々を虜にし続ける猫。海外の有名セレブの中にも、愛猫家を公言している人は少なくない。 ところが、そんな愛猫家たちにとってショッキングなニュースが舞い
イギリスで300匹以上の猫が謎の死。原因はキャットフード? 一部製品から有毒化学物質
2021/8/18(水) 19:02配信 FINDERS可愛らしい見た目や自由気ままな性格から、世界中の人々を虜にし続ける猫。海外の有名セレブの中にも、愛猫家を公言している人は少なくない。
ところが、そんな愛猫家たちにとってショッキングなニュースが舞い込んできた。イギリスで300匹以上の猫が亡くなったと『ABC News』が報じたのだ。
555件の症例が報告。死亡率は63%
ロンドンの王立獣医学校(RVC)によると、猫の大量死の原因は血液の病気「汎血球減少症」で、血中の白血球、赤血球、血小板が減少する症状が起こるという。今年2月に初の症例が報告されて以来、8月16日時点で555件の症例が挙がっており、死亡率は63%。この報告はイギリス国内の一部に過ぎないため、実際はさらに多くの猫が死亡したと考えられる。RVCは5月下旬にこの病気に罹患する猫が急増したことで注意喚起を行ったが、現在のところその原因は正式には特定されていない。
RVCと英国食品基準局(FSA)は、猫の大量死を引き起こした原因を調査中だ。FSAは、6月にリコールされたSainsbury社の低アレルギー性キャットフード、Pets at Home社のキャットフード「Applaws」「AVA」を含む複数の商品を調べている。
Fold Hill Foods社も6月に予防的措置として一部ペットフードを自主回収。同社の広報担当者は、「私たちは猫を飼っている者として、この状況がどれほど動揺を与え、ストレスになるかを十分に理解しています」「なぜイギリスで汎血球減少症の症例が増加しているのかを早急に解明する必要があります」と明かした。
検出されたマイコトキシンとは
FSAは7月16日の声明で、リコールされたキャットフードのサンプルの一部からマイコトキシンが検出されたことを発表した。マイコトキシンとは、さまざまな食品に発生するカビの有毒化学物質だ。ただFSAは「マイコトキシンはさまざまな飼料や食品に広く含まれており、これ自体が猫の汎血球減少症の原因であることを示しているわけではありません」と述べている。FSA及び規制当局は今後も調査を継続し、キャットフードに含まれる可能性のある毒素について、より広範なサンプルを調査する予定だ。なお、日本国内のペットに影響があるかは不明だが、自宅のキャットフードがリコール品を使用していないか確認してほしい。愛するペットを失った飼い主たちのためにも、病気の原因が一刻も早く究明されることを願うばかりだ。
窪田みちる
調査中のキャットフード
Pets at Home社のキャットフード「Applaws」「AVA」を含む複数の商品。
Fold Hill Foods社も6月に予防的措置として一部ペットフードを自主回収。
2021/8/22現在 リコール対象のキャットフード一覧
日本ではあまりメジャーではないフードが多いようです。
思ったよりリストが多かったのは、ショックですね。
英国のフードを利用されている方は、念のためメーカーや購入元に確認されることをお勧めします。
Applaws猫ドライチキン パックサイズ 400g、2kg、7.5kg バッチコード GB218E5009 賞味期限は すべての日付コード
Applaws猫鶏肉とサーモン パックサイズ 400g、2kg、7.5kg バッチコード GB218E5009 賞味期限は すべての日付コード
AVAアダルト成熟チキン7+ パックサイズ 2kgと4kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAシニアチキン12歳以上 パックサイズ 2kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAセンシティブスキン&ストマック パックサイズ 1.5kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVA重量管理 パックサイズ 1.5kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAヘアボール パックサイズ 1.5kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAオーラルケア パックサイズ 1.5kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAブリティッシュショートヘア パックサイズ 1.5kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAペルシア語 パックサイズ 1.5kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAメインクーン パックサイズ 1.5kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
Sainsbury’s HypoallergenicRecipeによるサーモン1年以上の完全なドライキャットフード パックサイズ 800g バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
Applaws子猫ドライチキン パックサイズ 400g、2kg、7.5kg バッチコード GB218E5009 賞味期限は すべての日付コード
Sainsbury’s HypoallergenicRecipeによるチキン1年以上の完全なドライキャットフード パックサイズ 800g バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
Applaws Cat Dry Chicken&Lamb パックサイズ 400g、2kg、7.5kg バッチコード GB218E5009 賞味期限は すべての日付コード
Applaws Cat Dry Chicken&Duck パックサイズ 400g、2kg、7.5kg バッチコード GB218E5009 賞味期限は すべての日付コード
Applaws Cat Dry Ocean Fish パックサイズ 350g、1.8kg、6kg バッチコード GB218E5009 賞味期限は すべての日付コード
Applaws CatDryシニアチキン パックサイズ 400g、2kg、7.5kg バッチコード GB218E5009 賞味期限は すべての日付コード
AVA子猫チキン パックサイズ 300gと2kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAアダルトチキン パックサイズ 300g、2kg、4kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
AVAアダルトフィッシュ パックサイズ 2kg バッチコード すべてのバッチコード 賞味期限は すべての日付コード
情報はこの先も増えていくと思われます。
リコール・自主回収されたすべての商品はこちらのリンクからチェックできます。(英語)
「ネコ汎血球減少症」とは
汎血球減少症は、赤血球、白血球、血小板の数が急速に減少し、深刻な病気を引き起こす非常にまれな状態です。
症状には、発熱、歯茎の青白さ、尿や糞便の血、鼻からの出血などがあります。
この病気は主に骨髄、脾臓、リンパ節、リンパ組織に影響を及ぼします。
この病気の猫はひどく体調が悪くなり、自然に出血し、しばしば複数回の輸血が必要になることがあります。致命的となる可能性があります。
8月16日時点で555件の症例が挙がっており、死亡率は63%。
なぜこの「稀な病」がこんなに起こっているのか?ペットフードが要因なのではないか?とまだ要因解明には至っていません。
キャットフードリコールの要因はマイコトキシンか
追加情報
FSAは、2021年7月16日に新たな情報を発表しました。
今回の猫汎血球減少症とマイコトキシンに関わりがあるのではないかという情報です。
まだ、「精査の段階」です。
このマイコトキシンは、年に何度も様々なメーカーのペットフードでリコールになっている物質です。
キャットフードリコールの要因とされるマイコトキシンとは
マイコトキシンとは、特定のカビによって生成される化学物質の総称です。
通称「カビ毒」と呼ばれています。
カビが作り出す化学物質のため、ペットフードメーカーは「天然の物質」であることを主張します。
全てのペットフードに混入しており、健康被害が出た場合は量や種類の問題があるのだろうということです。
カビが生える原材料(穀類・豆類・イモ類)が使われている場合、マイコトキシンの被害からは逃れられないとホリスティック獣医師の多くは考えています。
人間の食品でも、穀類芋豆は多く使われています。
にもかかわらず、人間用食品ではあまり問題にならず、ペットフードだけが基準値超過や犬猫の健康被害が起こって年に何度も様々なメーカーがリコールを起こしています。
なぜ犬猫だけなのか。
理由の一つに原材料の保管方法があります。
メーカーは、自然発生的と説明していますが、ペットフードの原材料は人間用とは似て非なるものなのではないかと、(あくまでも)私は想像しています。
キャットフードに含まれるマイコトキシンの問題は「発がん性」
マイコトキシンの中で最も毒性が高い、史上最強の発がん性物質と言われるのが、アフラトキシンです。
肝臓の発がん性が認められています。
ペットフードでよく発見されるのが「ボミトキシン」
言葉の通り、嘔吐や下痢などの消化障害を引き起こします。
「フモニシン」はトウモロコシで発生し、あらゆる臓器に影響を与えますが、特に肝臓がんを引き起こします。
これらの毒物にさらされると、たとえ低用量であっても犬猫の体に害をもたらし、貧血、肝疾患、腎疾患、がん、そして突然死を引き起こすこともあり得ます。
カビ毒は、何年にもわたって大量のペットフードのリコールを引き起こしてきました。
ある機関で、穀物、タンパク質源、副産物、ドッグフードを含む動物飼料965のサンプルを分析しました。サンプルには、
サンプルの98%が1つまたは複数のマイコトキシンで汚染されていました。
サンプルの93%に2つ以上のマイコトキシンが含まれていました。
サンプルの39%には5つ以上のマイコトキシンが含まれていました。
FDAは、穀物に存在する可能性のあるカビの許容レベルに関するガイドラインを発行していますが、ペット用食品の製造は、人間の食品ほど厳密には監視していません。
私たち飼い主がペットに何を与えているかを賢明に調べて研究しなければ、ロシアンルーレットのように、毒性のあるペットフードを与えてしまうことにもなりかねない状態です。
グエルフ大学の教授であり、マイコトキシン研究の分野で世界をリードするトレバー・スミスは、ペットフードのカビについて次のように述べています。
「これまでのようにバクテリアの腐敗や病気の汚染を心配する代わりに、今ではマイコトキシンの除去に集中する必要があります。」
スミス氏は、ペットの飼い主は、植物性シリアルやトウモロコシや小麦の外皮が含まれている可能性が高い安価なペットフードを避けることで、犬や猫がマイコトキシンを含むペットフードを食べること防ぐことができると説明しています。
彼は特にペットの飼い主に、穀物を避けるように促します。
「正確な数値はありませんが、食品の半分が野菜由来の場合、ほとんどの場合、ある程度の汚染があると推定できます。食品が主に動物由来である場合、汚染の可能性は大幅に減少します。」
グレインフリーのペットフードが推奨されるのは、このような理由もあります。
グレインフリーのキャットフードならマイコトキシンは安全ですか?
保管状態が悪かったり、常温保管をすればペットフードになってからカビが付きカビ毒が発生することはあります。
グレインフリーのペットフードでも、購入元や購入後の取り扱いには十分気を付けましょう。
また、ドライフードの問題点は、グレイン(穀物)だけではありません。
猫の食性は完全肉食です。
グレインフリーのキャットフードは、カビ毒汚染のリスクをほんの少し下げたとしても、猫の健康被害の元となる問題はほとんど解決されていません。
穀物を含むキャットフードはカビ毒、アフラトキシンの問題を孕んでいますが、グレインフリーのフードの中には、グレインを含むフードよりも猫の尿路結石の要因となる可能性が高いものが多く存在します。
キャットフードの選び方を学ぶことをお勧めします。
猫がマイコトキシンを食べてしまったら
猫の餌に1粒でも穀物、コーン、芋豆類を含むフードを与えていたら、猫はマイコトキシンを食べてしまっています。
それでもドライフードを与えるのなら、ニンジン, パクチー, セロリ, パセリ, など解毒作用のある食材を与える方法もあります。
ところが、多くの猫はこれらの野菜を好みませんし、食べれば必ず解毒になるというものではありません。
経験上、猫の解毒は難しいもの。
猫の体内に入れないのが一番です。
猫の健康のための食事選びは、何かを足すことではなく引くことから始めます。
猫の健康にとっての有害物質をひとつずつ取り除いていくと、猫が美味しく食べて健康を害さない、病気の要因にならないものだけを食べさせていくことができます。
それでも愛する猫にペットフードを与えられるのなら
リコール情報にはいつもアンテナを張りましょう。
与えたフードで健康被害が起こってから調べたら、リコールになっていた!
なんてことがないように。
猫の食事をきちんと選び、管理して、できるだけ自分で作るようにすると、少なくとも愛猫がカビ毒の被害にあうことは防ぐことができます。
愛する猫を守るのは、世界でたった一人、飼い主自身です。
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引用元
Cat food recall: Full list of recalled Fold Hill Foods products from Applaw to Ava, amid death fears
https://www.pfma.org.uk/news/information-for-pet-owners-concerned-about-pancytopenia
参考資料
シッポの「願い」聞こえていますか?犬猫の声 本村伸子獣医師著
https://www.dogsnaturallymagazine.com/cancer-causing-aflatoxins-found-in-dog-foods/